※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。本記事の制度・数値の記述はすべて国税庁・総務省・住宅金融支援機構・日本銀行の公開資料を出典としており、広告の有無によって内容を変えることはありません。
結論:年末調整で出すのは書類2枚だけです。税務署から届く「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」。この2枚を勤務先に出せば、2年目以降は確定申告をしなくても控除が受けられます。
そして、多くの記事が「子育て世帯・若者夫婦世帯」と書いている上乗せの措置は、40代でも19歳未満の子どもがいれば対象です。国税庁が定める「特例対象個人」の定義にそう書かれています。呼び名のせいで、対象なのに気づかないまま上限の低いほうで計算している人がいます。

会社から「住宅ローン控除の紙を出して」って言われたんだけど、どの紙のこと?去年もよく分からないまま出した気がする。

出すのは2枚だよ。税務署から来た横長の紙と、銀行から来た残高の紙。この記事では、その2枚の書き方と、自分がいくら戻るのか、そして今年は上限が人によって違うという話を順番に片づけるね。
また、住宅金融支援機構のフラット35(借入期間21〜35年・融資率9割以下)の最も多い金利は2026年10月の資金受取分で年3.830%です(9月は年3.460%)。控除率0.7%との関係が数年前とは逆になっているため、本文の第7章で別に整理しています。
結論|年末調整で出す書類は2枚。上限は「住み始めた年」と「子の年齢」で変わる
住宅ローン控除(正式には住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高に0.7%を掛けた額が所得税から差し引かれる仕組みです。1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で完結します。つまり会社員にとっては、秋に届く2枚の紙を職場に出すだけの手続きです。
ただし「いくら戻るか」は人によって違います。違いを生むのは次の3つです。
- 住み始めた年(令和4年か、令和8年かで上限が変わります)
- 家の性能の区分(認定長期優良住宅・ZEH水準・省エネ基準適合・その他)
- 自分が「特例対象個人」かどうか(40代でも19歳未満の子がいれば該当します)
この3つが決まると上限が決まり、上限と「年末残高×0.7%」の小さいほうが、その年の控除額になります。まずは手続きの話を先に済ませ、そのあとで金額の話に入ります。
住宅ローン控除とは?|「年末残高×0.7%」が所得税から引かれる仕組み
住宅ローン控除とは?
住宅ローンを使って家を買ったり建てたりした人が、一定の要件を満たす場合に、年末のローン残高に0.7%を掛けた額を、その年の所得税から差し引ける制度です。国税庁の正式な名前は「住宅借入金等特別控除」です。新築等では令和4年1月1日から令和12年12月31日までに住み始めた人が対象です。
大事なのは、これが「所得控除」ではなく「税額控除」だという点です。所得控除は税金を計算する前の金額を小さくするものですが、税額控除は計算し終わった税金そのものを直接減らします。だから効き方が大きいのです。
年末残高等とは?
その年の12月31日時点のローン残高のことです。銀行から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」に書かれています。繰上返済をすればこの残高が減るので、控除額も減ります。この関係が第7章の判断につながります。
控除限度額と借入限度額は何が違う?
国税庁の表は「控除限度額」で書かれています。これは1年間に引ける上限の金額です。いっぽう世の中の記事でよく見る「借入限度額」は、控除の計算対象にできるローン残高の上限です。両者は0.7%で行き来できます。
| 控除限度額(国税庁の表記) | 0.7%で割り戻した借入限度額 |
|---|---|
| 35万円 | 5,000万円 |
| 31.5万円 | 4,500万円 |
| 24.5万円 | 3,500万円 |
| 21万円 | 3,000万円 |
| 14万円 | 2,000万円 |
控除額の計算を3ステップでやってみる
自分の控除額は、次の3ステップで出ます。電卓があれば1分です。
- 年末残高に0.7%を掛ける(残高証明書の「12月31日現在」の数字を使います)
- 自分の控除限度額を調べる(住み始めた年・住宅の区分・特例対象個人かどうかで決まります。第5章の表で引けます)
- ①と②の小さいほうを取る。それがその年の控除額です
ステップ③で「小さいほう」を取るところが抜けると、計算が合わなくなります。残高が大きい人は②で頭打ちになり、残高が減ってきた人は①のほうが小さくなります。同じ家でも、返済が進むにつれて効く側が入れ替わるということです。
| 年末残高 | 残高×0.7% | 控除限度額14万円の人 | 控除限度額21万円の人 | 控除限度額31.5万円の人 |
|---|---|---|---|---|
| 4,500万円 | 31.5万円 | 14.0万円 | 21.0万円 | 31.5万円 |
| 3,500万円 | 24.5万円 | 14.0万円 | 21.0万円 | 24.5万円 |
| 3,000万円 | 21.0万円 | 14.0万円 | 21.0万円 | 21.0万円 |
| 2,500万円 | 17.5万円 | 14.0万円 | 17.5万円 | 17.5万円 |
| 2,000万円 | 14.0万円 | 14.0万円 | 14.0万円 | 14.0万円 |
| 1,500万円 | 10.5万円 | 10.5万円 | 10.5万円 | 10.5万円 |
| 1,000万円 | 7.0万円 | 7.0万円 | 7.0万円 | 7.0万円 |
この表を眺めると分かるのは、残高2,000万円を下回ると、どの限度額の人も同じ控除額になるということです。裏を返せば、上限の差(=特例対象個人の上乗せや住宅の区分)が効くのは、残高が2,000万円を超えているあいだだけです。返済が進んだ家庭では、上限の話よりも「残高がいくら残っているか」のほうが効きます。
2年目以降は年末調整で終わる|届く書類2枚と、どこに何を書くか
国税庁は手続きを「控除を受ける最初の年分」と「2年目以後の年分」に分けています。会社員が毎年やるのは後者です。
1年目だけは確定申告が必要
住み始めた年の分は、確定申告書に「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や登記事項証明書などを添えて、税務署に出す必要があります。ここは年末調整では代えられません。国税庁が共通の提出書類として挙げているのは次のものです。
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(連帯債務があるときは付表も必要)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(金融機関から交付されます)
- 家屋の登記事項証明書など、床面積が50平方メートル以上であることを明らかにする書類(特例居住用家屋・特例認定住宅等の場合は40平方メートル以上50平方メートル未満であることを示す書類)
- 工事請負契約書または売買契約書の写しなど、取得対価の額を明らかにする書類
- 土地の購入分も控除を受ける場合は、土地の登記事項証明書と売買契約書の写し
- 補助金等の交付を受けた場合は、補助金決定通知書など補助金等の額を証する書類
- 住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合は、贈与税の申告書など贈与額を証する書類の写し
なお給与所得者は、平成31年4月1日以後、源泉徴収票を確定申告書に添付する必要がなくなりました。ただし申告書を作るときの数字は源泉徴収票から取るので、手元には必要です。
2年目以降に勤務先へ出すのは、この2枚
- 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(税務署から送られてきます。1年目の確定申告をすると、残りの年数分がまとめて届く形が一般的です)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(借入先の金融機関から届きます。2か所以上から借りている場合は、そのすべてが必要です)
この2枚を勤務先に提出すれば、年末調整で控除が反映されます。住民税のほうは、あとで述べるとおり市区町村への申告は不要です。
書くときに間違えやすい3か所
- 年分が合っているか。税務署から複数年分がまとめて届くため、前年分の用紙を出してしまう取り違えが起きます。
- 年末残高をどちらの数字で書くか。残高証明書には「12月31日現在の残高」と「証明書の発行日時点の残高」が併記されていることがあります。使うのは年末の残高です。
- 連帯債務になっていないか。夫婦の共有名義や連帯債務では、持分や負担割合に応じて按分します。この場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」が必要です。
勤務先に出す前の最終チェック7項目
差し戻しの原因はだいたい決まっています。封筒に入れる前に、この7つだけ見てください。
- 用紙の年分が今年のものになっているか
- 残高の欄に書いた数字が12月31日現在の残高か(発行日時点の残高と取り違えていないか)
- 借入先が2か所以上ある場合、すべての残高等証明書を添えたか
- 共有名義・連帯債務のとき、持分や負担割合に応じた按分をしたか(付表の有無)
- 取得対価の額の欄が、契約書の金額と一致しているか
- 氏名・住所・勤務先名の記載に書き漏れがないか
- 押印や記名の様式が、勤務先の指定と合っているか
この7項目は、どれも数十秒で確認できます。年末調整の締切は会社によって11月中旬から12月上旬と幅があり、差し戻されると間に合わなくなるのが一番の損失です。控除そのものは確定申告で取り戻せますが、わざわざ自分で申告する手間が増えます。

もし紙をなくしてしまったら、もう今年はあきらめるしかないの?

あきらめなくていいよ。行き先は2つだけ。税務署の証明書は所轄の税務署へ、銀行の残高証明書は借入先の金融機関へ。どちらも再発行してもらえる。年末調整に間に合わなかった場合でも、自分で確定申告すれば控除は受けられる。なくしたら「会社の年末調整は使えない」だけで、権利そのものは消えないんだ。
書類をなくしたときの行き先は2つだけ
| なくした書類 | 行き先 | 何を頼むか |
|---|---|---|
| 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 所轄の税務署(住所地を管轄する税務署。国税庁サイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で郵便番号から探せます) | 「住宅借入金等特別控除証明書の再交付」を申請します。申請書の様式は国税庁サイトで公開されています |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 借入先の金融機関(ローンを借りている銀行。窓口・コールセンター・ネットバンキングの各行の手続き画面) | 「年末残高証明書の再発行」を依頼します。再発行には日数がかかるため、年末調整の締切から逆算して早めに連絡します |
1年目の確定申告は、税務署の窓口に行かなくても済みます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に従って入力し、e-Taxで送信すれば完了します。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、添付書類の一部も提出を省略できます。紙で作った場合は、郵送でも提出できます。
「特例対象個人」は若者夫婦だけではない|40代でも19歳未満の子がいれば上乗せの対象
ここが本題です。国税庁は「特例対象個人」を次のように定義しています。
- 年齢40歳未満であって配偶者を有する者
- 年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
- 年齢19歳未満の扶養親族を有する者
判定は居住年の12月31日の現状で行います。つまり3つ目に当てはまれば、本人が40代でも50代でも対象です。世の中では「子育て世帯・若者夫婦世帯の特例」と紹介されることが多く、「若者夫婦」という言葉のせいで、40代の読者が自分を対象外だと判断してしまうのが一番もったいない誤解です。
上乗せの大きさは、家の区分と住み始めた年で変わります。令和8年(2026年)に新築等へ住み始めた場合は次のとおりです。
| 住宅の区分 | 一般の控除限度額 | 特例対象個人の控除限度額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 31.5万円 | 35万円 | +3.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 24.5万円 | 31.5万円 | +7万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 14万円 | 21万円 | +7万円 |
| その他の住宅 | 0円(控除期間0年) | — | — |
ただし、上乗せが全員の控除額を増やすわけではありません。上乗せは「上限」を引き上げる措置なので、効くのは残高が上限に届いている人だけです。第2章の早見表のとおり、残高が2,000万円を下回るとどの限度額の人も控除額は同じになります。まず自分の残高が上限に届いているかを見てから、上乗せの話に進んでください。
たとえばZEH水準省エネ住宅で、年末残高が3,500万円ある人を考えます。3,500万円×0.7%=24.5万円です。一般なら上限が24.5万円なのでそのまま24.5万円。特例対象個人なら上限が31.5万円に上がるので、やはり24.5万円が引けます。上乗せが効いてくるのは、残高が上限を超えている人です。残高4,500万円なら0.7%で31.5万円ですが、一般の上限24.5万円で頭を打ちます。特例対象個人なら31.5万円まで引けるので、1年で7万円、13年で最大91万円の差になります。
住み始めた年で上限が違う|新築と中古、令和4年と令和8年の早見表
同じ制度でも、住み始めた年が違えば上限が違います。「去年の記事を読んで計算したら合わなかった」という相談が増えるのは、ここが毎年動くからです。
新築等(新築・未使用の住宅の取得)の場合
| 住宅の区分 | 居住年 | 控除期間 | 控除限度額(一般) | 特例対象個人 |
|---|---|---|---|---|
| 認定長期優良・認定低炭素 | 令和4年・5年 | 13年 | 35万円 | — |
| 同上 | 令和6年〜令和12年 | 13年 | 31.5万円 | 35万円 |
| ZEH水準省エネ | 令和4年・5年 | 13年 | 31.5万円 | — |
| 同上 | 令和6年〜令和12年 | 13年 | 24.5万円 | 31.5万円 |
| 省エネ基準適合 | 令和4年・5年 | 13年 | 28万円 | — |
| 同上 | 令和6年・令和7年 | 13年 | 21万円 | 28万円 |
| 同上 | 令和8年・令和9年 | 13年 | 14万円 | 21万円 |
| 同上 | 令和10年〜令和12年 | 0年 | 0円(経過措置あり) | — |
| その他の住宅 | 令和4年・5年 | 13年 | 21万円 | — |
| その他の住宅 | 令和6年〜令和12年 | 0年 | 0円(経過措置あり) | — |
表のなかで、2026年に家を買った人にとって一番重いのは省エネ基準適合住宅が21万円から14万円に下がったことです。令和7年に住み始めた人と令和8年に住み始めた人で、1年あたり7万円、13年で最大91万円の差が出ます。引き渡しが年末年始をまたぐ契約では、住み始めた日が1日違うだけでこの差が生まれます。
既存住宅(中古住宅)の取得の場合
ここまでが新築等の話です。中古を買った人は、同じ表を見てはいけません。控除期間も限度額も別に定められていて、しかも2026年に動いたのはこちらのほうが大きいからです。
中古は長く「10年」でした。ところが令和8年からは認定住宅等で13年に延びています。ここは変わったばかりなので、古い記事をそのまま読むと取り違えます。
| 住宅の区分 | 居住年 | 控除期間 | 控除限度額(一般) | 特例対象個人 |
|---|---|---|---|---|
| 認定長期優良・認定低炭素 | 令和4年〜令和7年 | 10年 | 21万円 | — |
| 同上 | 令和8年〜令和12年 | 13年 | 24.5万円 | 31.5万円 |
| ZEH水準省エネ | 令和4年〜令和7年 | 10年 | 21万円 | — |
| 同上 | 令和8年〜令和12年 | 13年 | 24.5万円 | 31.5万円 |
| 省エネ基準適合 | 令和4年〜令和7年 | 10年 | 21万円 | — |
| 同上 | 令和8年〜令和12年 | 13年 | 14万円 | 21万円 |
| その他の住宅 | 令和4年〜令和12年 | 10年 | 14万円 | — |
中古の「その他の住宅」だけは令和4年から令和12年まで10年・14万円で動いていません。性能の証明がある家とない家で、制度の扱いがはっきり分かれたのがこの数年の流れです。
自分の家がどの区分か分からないときの調べ方
「認定長期優良住宅」なのか「ZEH水準」なのか「省エネ基準適合」なのか。買ったときの資料をひっくり返しても分からないという相談が多いところです。判定の根拠になるのは、控除を受けるときに税務署へ出した書類そのものです。
| 住宅の区分 | それを証明する書類(国税庁が求めているもの) |
|---|---|
| 認定長期優良住宅 | 長期優良住宅建築等計画等の「認定通知書」の写し+市区町村の「住宅用家屋証明書」もしくは建築士等の「認定長期優良住宅建築証明書」 |
| 認定低炭素住宅 | 低炭素建築物新築等計画の「認定通知書」の写し+市区町村の「住宅用家屋証明書」もしくは建築士等の「認定低炭素住宅建築証明書」 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 建築士等の「住宅省エネルギー性能証明書」または登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写し(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上) |
| 省エネ基準適合住宅 | 同じ証明書・評価書(断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上)。令和8年1月1日以降に居住した場合は建築基準法の「検査済証」の写しも使えます |
| その他の住宅(経過措置を使う場合) | 令和5年12月31日以前に建築確認を受けたことを示す「確認済証」または「検査済証」の写し、あるいは令和6年6月30日以前に建築されたことを示す登記事項証明書 |
1年目の確定申告の控えが見つからない場合は、税務署から届いている「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」を見てください。控除限度額の計算に使われる区分が、この証明書に記載されています。自分で判定しようとせず、すでに判定された書類を探すほうが早いです。
所得税で引き切れないときは住民税から|上限は97,500円(136,500円ではありません)
控除額が所得税より大きいことがあります。たとえば控除可能額が21万円でも、その年の所得税が15万円しかなければ、6万円が余ります。この余りは翌年度の個人住民税から差し引かれます。
総務省の説明では、対象は平成21年から令和12年12月31日までに居住した人で、控除の上限は前年分の所得税の課税総所得金額等の5%(97,500円を限度)です。
よく見かける「136,500円(7%)」という数字は、居住年が平成26年から令和3年12月31日までで、かつその住宅の取得が特定取得または特別特定取得にあたる場合に限られます。令和4年以降に住み始めた人には当てはまりません。0.7%・13年の制度になってから家を買った人が「136,500円まで戻る」と読んでしまうのは、この区別が落ちているためです。
| 居住年 | 住民税からの控除の上限 |
|---|---|
| 平成26年〜令和3年12月31日(特定取得・特別特定取得の場合) | 課税総所得金額等の7%(136,500円を限度) |
| 令和4年1月1日以降 | 課税総所得金額等の5%(97,500円を限度) |
所得税からは15万円しか引けないので、余りは6万円。
前年分の課税総所得金額等が300万円なら、その5%は15万円。ただし上限は97,500円なので、枠は97,500円です。
余りの6万円は97,500円の枠に収まるため、6万円は翌年度の住民税から差し引かれます。
※税額は家族構成・各種控除によって変わります。考え方を示すためのモデルです。
分岐点は課税総所得195万円|5%と97,500円のどちらが天井になるか
住民税側の枠は「課税総所得金額等の5%」と「97,500円」の二重の上限です。どちらが先に効くかは、課税総所得金額等が195万円を超えるかどうかで決まります。97,500円 ÷ 5% = 195万円だからです(当ブログによる算出)。
| 前年分の課税総所得金額等 | その5% | 実際の枠 | 効いている上限 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 5.0万円 | 5.0万円 | 5%のほう |
| 150万円 | 7.5万円 | 7.5万円 | 5%のほう |
| 195万円 | 9.75万円 | 9.75万円 | ちょうど同じ |
| 300万円 | 15.0万円 | 9.75万円 | 97,500円のほう |
| 500万円 | 25.0万円 | 9.75万円 | 97,500円のほう |
つまり課税総所得金額等が195万円を超える人は、住民税から戻る分は年間97,500円で頭打ちです。所得税で引き切れない額がそれより大きい場合、はみ出した分はどこからも戻りません。これは「控除限度額まで枠があるのに、自分の税金が少なくて使い切れない」という形で起きます。共有名義にして夫婦それぞれで控除を受けるほうが有利になりやすいのは、この頭打ちがあるためです。
この住民税側の控除を受けるために、市区町村へ別途申告する必要はありません。確定申告や年末調整の情報が市区町村に渡る仕組みになっているためです。手続きは2枚の紙を出すところで終わりだと覚えてください。
金利が上がって前提が変わった|控除0.7%と金利3.830%の逆転
ここは数字の話ではなく、判断の話です。住宅ローン控除をめぐって長く言われてきたのが「控除期間中は繰上返済しないほうがいい」でした。理由は単純で、金利が0.5%程度だった時代は、払う利息より戻る控除のほうが大きかったからです。
| 年末残高 | 金利0.5%のときの年間利息(概算) | 金利3.830%のときの年間利息(概算) | 控除(0.7%) |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 約10.0万円 | 約76.6万円 | 14.0万円 |
| 3,000万円 | 約15.0万円 | 約114.9万円 | 21.0万円 |
| 4,500万円 | 約22.5万円 | 約172.4万円 | 31.5万円 |
残高3,000万円なら、金利0.5%の利息15.0万円に対して控除は21.0万円。利息より控除のほうが大きく、実質的に金利がマイナスの状態でした。これが「控除期間中は返さない」の根拠です。
ところが金利3.830%では、利息が約114.9万円に対して控除は21.0万円です。控除は利息の2割弱しか埋めません。「控除があるから返さない」という理屈は、これから借りる人にはもう成り立ちません。
ただし、ここで短絡しないでください。すでに低金利で借りている人の金利は、借換えをしない限り上がりません。自分の返済予定表に書かれた金利が0.5%なら、その人の前提は今も変わっていません。判断を分けるのは「世の中の金利」ではなく「自分の適用金利」です。繰上返済と投資のどちらを優先するかは住宅ローン繰上 vs NISA どっちが得?で、変動と固定の選び方は住宅ローン変動vs固定の判断は?で整理しています。
自分の適用金利を5分で確かめる手順
判断に使うのは世の中の金利ではなく、自分の契約に書かれた金利です。次の順で探してください。
- 返済予定表(償還予定表)を開く。借入時に渡される冊子か、ネットバンキングの「住宅ローン」の画面にあります
- 適用金利の欄を見る。変動型の人は「現在の適用金利」と「次回見直し日」が併記されています
- その金利を0.7%と比べる。0.7%より低ければ控除のほうが大きく、高ければ利息のほうが大きい
- 変動型なら次回見直し後の金利も確認する。多くの銀行は年2回(4月・10月)の見直しです
短期プライムレートは2026年8月3日に改定されています(日本銀行の公表データ)。変動金利は短期プライムレートの改定が数か月遅れて適用金利に反映されるため、10月の見直しから返済額に効いてくる可能性があります。長期プライムレートは2026年9月10日に3.40%となりました。いま変動型で借りている人は、今年の見直し通知を必ず開いてください。

うちは何年か前に借りたから、まだ控除のほうが大きい側ってこと?

返済予定表の金利を見れば分かるよ。控除0.7%より低い金利なら、まだ「返さない」が有利。逆に0.7%より高いなら、繰上返済で確実に利息を減らすほうが効く。判断の分かれ目が0.7%という線になったのが、今年の一番大きな変化だと思う。
40代が止まる心理ブロック|「どうせ戻らない」と決めつける前に
制度の説明を読んでも動けない理由は、情報不足だけではありません。40代の相談で共通して出てくるのは、次の3つの思い込みです。
思い込み①「上乗せは若い人の話だ」
「子育て世帯・若者夫婦世帯」という呼び方が、そのまま壁になります。実際の要件は19歳未満の扶養親族がいるかどうかです。40代で中学生や高校生の子がいる家庭は、むしろ中心的な対象です。呼び名で判断せず、定義で判断してください。
思い込み②「残高が減ってきたから、もう大した額ではない」
残高2,000万円でも0.7%なら14万円です。手取りで14万円を増やすのは簡単ではありません。紙を2枚出すだけで届く14万円を、「大した額ではない」と見送るのは割に合いません。
思い込み③「去年と同じだから確認しなくていい」
住宅ローン控除は、住み始めた年で固定される部分(控除期間・限度額)と、毎年動く部分(年末残高・自分の所得税額・子の年齢)が混ざっています。子が19歳になった年、残高が上限を割った年、所得が変わった年には金額が動きます。毎年1回、残高証明書が届いたときに5分だけ見る習慣が、一番費用対効果の高い家計管理です。
FP実例|現場でよくある4つのつまずき
いずれも相談内容を匿名化し、数字をモデルに置き換えたものです。
本人は一般の上限24.5万円で計算していたが、中学生の子がいるため特例対象個人に該当。上限は31.5万円で、年7万円の差。13年では最大91万円。
きっかけは「若者夫婦世帯」という見出しを見て読み飛ばしていたこと。要件の原文を読んだだけで解決した。
差は数十万円で控除額では数千円だが、勤務先から差し戻されて年末調整の締切に間に合わなくなった。
使うのは「12月31日現在の残高」。書く前に用紙の年分と残高の基準日を声に出して確認するだけで防げる。
ところが各種控除が多く、その年の所得税は12万円。余りは9万円。
住民税側の枠は課税総所得金額等の5%と97,500円の小さいほうなので、課税総所得が195万円を超えていれば枠は97,500円。余りの9万円は枠に収まり、翌年度の住民税から差し引かれていた。
本人は「所得税が少ないから損をしている」と思っていたが、実際は住民税で戻っていた。住民税の通知書を見ていなかったことが原因。6月に届く通知書の控除欄を見る習慣がなかった。
連帯債務では負担割合に応じて按分し、「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」が必要。
世帯で見れば妻の側でも控除が使えるため、正しく按分したほうが世帯の合計では増えることが多い。
インフレを考えると|控除額は固定、物価は動く
最後に、金額の「重さ」の話をします。住宅ローン控除の限度額は、住み始めた年で固定されます。令和8年に住み始めて控除限度額21万円なら、13年後も21万円です。一方で物価は動きます。物価が上がる局面では、同じ21万円で買えるものは年々減っていきます。
これは制度の欠点を責める話ではなく、受け取り方を変える話です。具体的には2つです。
| 経過年数 | 名目の控除額 | 物価が年2%上がった場合の実質価値(当ブログ算出) |
|---|---|---|
| 1年目 | 21.0万円 | 21.0万円 |
| 5年目 | 21.0万円 | 約19.4万円 |
| 10年目 | 21.0万円 | 約17.6万円 |
| 13年目 | 21.0万円 | 約16.6万円 |
名目では同じ21万円でも、13年目の21万円は1年目の約16.6万円分の買い物しかできません。差は約4.4万円です。これは制度の欠点を責める話ではなく、受け取り方を変える話です。具体的には2つです。
- 戻ってきた分を使い切らない。年末調整で戻る額は、翌年の生活費に溶けやすいお金です。戻った月だけ積立額を増やす、あるいは別口座に移す。物価の上昇に負けないようにするには、使わずに回すしかありません。還付額が年21万円なら、そのまま毎年積み立てるだけで13年で273万円が動きます。
- 借入の金利とセットで考える。インフレ局面では金利も上がりやすく、控除0.7%の価値は相対的に小さくなります。第7章のとおり、判断の軸は「自分の適用金利と0.7%のどちらが大きいか」です。変動型で借りている人は、控除の価値が実質的に目減りしていく一方で、利息が増える側に動きます。この2つは同じ方向に働くので、合わせて見ないと判断を誤ります。
なお、2026年10月の給与で手取りが変わった人は、10月の給料で手取りが減るのはなぜ?も合わせて読んでください。年末調整の還付額は、その年に引かれた所得税の総額に左右されます。年末調整そのものの変更点は年末調整2026年の変更点にまとめています。
今日やる3つのアクション
- 銀行から届いた残高証明書を探す。12月31日現在の残高の欄に印を付けます(2分)。
- 税務署から届いた証明書兼申告書の「年分」を確認する。複数年分が束で届いているので、今年の分を抜きます(2分)。
- 子の年齢を12月31日時点で数える。19歳未満の子がいれば特例対象個人です。上限が上がるので控除額の計算をやり直します(1分)。

最後に1つだけ。紙を2枚出すだけで、人によっては年21万円から35万円が動きます。「よく分からないまま出す」のをやめて、今年は自分がいくら戻るはずかを先に計算してから出してみてください。差し戻しも、取りこぼしも、それだけでほとんど消えます。
よくある質問
Q|年末調整に間に合わなかったら、その年の控除はあきらめるしかない?
いいえ。自分で確定申告をすれば控除を受けられます。2年目以降も、年末調整の代わりに確定申告で適用を受けることが認められています。必要なのは計算明細書と年末残高等証明書です。
Q|税務署から届く証明書をなくしたら?
再交付の申請ができます。あわせて、銀行の年末残高等証明書も再発行を依頼してください。書類がそろえば手続きは通常どおり進みます。
Q|繰上返済をすると控除は減りますか?
減ります。控除は年末残高に0.7%を掛けて計算するため、残高が減れば控除額も減ります。ただし残高が控除限度額に対応する水準を超えている人は、上限で頭打ちになっているため、繰上返済しても控除額が変わらない場合があります。自分の残高と上限の位置関係を先に確認してください。
Q|住民税の控除を受けるために役所へ行く必要はありますか?
必要ありません。総務省も「市区町村への申告は不要」と明記しています。確定申告や年末調整の情報が市区町村に渡る仕組みになっています。
Q|夫婦の共有名義のときは、どちらが控除を受けますか?
それぞれが自分の持分・負担割合に応じて控除を受けられます。連帯債務の場合は付表で按分を計算します。世帯の合計で見ると、片方に寄せるより按分したほうが大きくなることが多いので、両方に所得があるなら必ず試算してください。
Q|子が19歳になった年から、上乗せはなくなりますか?
特例対象個人の判定は居住年の12月31日の現状で行われ、上乗せが適用されるのは住み始めた年の判定による控除限度額です。つまり住み始めた年に19歳未満の子がいれば、その年に決まった控除限度額が控除期間を通じて使えます。一方で、住み始めた年の12月31日時点で子が19歳以上になっていれば、他の要件(40歳未満で配偶者あり等)に当てはまらない限り上乗せは使えません。「毎年判定される」のではなく「住み始めた年で決まる」という点を押さえてください。自分の控除限度額は、税務署から届く証明書に記載されています。
Q|所得が2,000万円を超えた年はどうなりますか?
その年は控除を受けられません。要件に「この特別控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること」があります。翌年に2,000万円以下に戻れば、残っている控除期間のあいだは再び受けられます。床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の特例の場合は、所得要件が1,000万円以下とさらに厳しくなります。
Q|「その他の住宅」だと控除は本当にゼロですか?
令和6年以降に新築等で住み始めた「その他の住宅」は、原則として控除期間0年です。ただし令和5年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和6年6月30日までに建築されたものは、控除限度額14万円・10年間の控除が受けられる経過措置があります。建築確認の日付が分かれ目になるので、確認済証を探してください。
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年末調整の紙は、家計のなかでいちばん「よく分からないまま出している」書類だと思います。
私自身、最初の数年は会社から配られた順に書いて出すだけでした。国税庁の原文を開いて「特例対象個人」の定義を読んだとき、19歳未満の子がいれば40代でも対象だと知って手が止まりました。「子育て世帯・若者夫婦世帯」という見出しを、自分には関係ない話として何度も読み飛ばしていたからです。
制度は毎年少しずつ動きます。今年は省エネ基準適合住宅の上限が下がり、中古の控除期間が延び、金利は控除率を大きく超えました。変わったことを知らないままでは、正しい紙を出していても取りこぼします。
この記事を閉じたら、残高証明書の「12月31日現在」の欄と、お子さんの年齢だけ確認してください。5分で終わります。それだけで、今年いくら戻るはずなのかが分かります。
あなたとご家族が、お金の不安から自由になりますように。それがこのブログを書き続けている、たった一つの理由です。
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免責事項
本記事は、更新時点(2026年10月2日)の国税庁タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・総務省「個人住民税の住宅ローン控除」・住宅金融支援機構【フラット35】金利情報・日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」をもとに、40代の会社員が一般向けに整理したものです。控除期間・控除限度額・特例対象個人の判定は、住み始めた年・住宅の区分・床面積・建築確認の日付によって異なります。本記事の試算はいずれも考え方を示すためのモデルであり、個別の税額を保証するものではありません。ご自身の控除額・申告方法については、必ず国税庁の最新情報、所轄の税務署または税理士にご確認ください。本記事は個別の税務相談ではありません。利息の概算は「残高×金利」による単純計算で、元金の減少・返済方式・団体信用生命保険料を考慮していません。金利は改定される場合があります。本記事は特定の金融商品・サービスの推奨を行うものではありません。
出典・参考リンク
- 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)=控除限度額・控除期間・特例対象個人の定義
- 国税庁 No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)=令和8年から控除期間13年
- 総務省 新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります(5%・97,500円/7%・136,500円の適用区分・市区町村への申告は不要)
- 住宅金融支援機構【フラット35】金利情報(2026年10月 資金受取分・21〜35年・融資率9割以下の最も多い金利 年3.830%)
- 日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移(短期プライムレート 2026年8月3日改定/長期プライムレート 2026年9月10日 3.40%)

